結論から申し上げますと、米中貿易摩擦によりレアアースの銘柄が恩恵を受けています。
しかし、売り上げがまだない状況なので採掘がうまくいかない場合のリスクが高いです。
決算の前に利確を推奨します。
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なぜ、レアアースの銘柄が恩恵を受けているのか
では、なぜレアアースに関する銘柄が上昇傾向なのでしょうか。
それは、中国がレアアースの最大の産出国であり、加工国であるからです。
レアアースは半導体、EV、スマートフォン、LEDなど幅広く使われています。さまざまな産業に欠かせないもののため、レアアースは「産業のビタミン」ともよばれます。
レアアースの採掘場所は以下の図の通りです。
作成:筆者とAIが協同で作成
このうち、中国がシェアの7割を占めています。内モンゴルにある白雲鄂博鉱山が最大規模です。
採掘だけでなく加工も大変なレアアース
レアアースが採掘される鉱床にはいくつか系統があります。それぞれ地質的な特徴や含まれる元素が異なり、採掘・精製方法も変わってきます。
| 系統名 | 主な鉱物例 | 特徴・含まれる元素 | 主な産地例 |
| イオン吸着型鉱床 (粘土系) | カオリナイトなど粘土鉱物 | 重希土類(Dy、Tb、Yなど) | 中国南部(江西省など) |
| 炭酸塩鉱床 (カーボナタイト系) | バストネサイトなど | 軽希土類(Ce,La,Nd,Pr) | 中国内モンゴル、米マウンテンパス |
| リン酸塩鉱床 (モナザイト系) | モナザイト、ゼノタイム | 軽~重希土類(Ce,Nd,Sm,Yなど) | インド、ブラジル、豪州など |
| 花崗岩ペグマタイト系 | フェルドスパー、石英など | スカンジウム(Sc)など | ロシア、カナダなど |
| 火山性堆積鉱床 | 火山灰由来の鉱物 | 軽希土類中心(La、Ceなど) | グリーンランド、南鳥島など |
| 海底鉱床 (マンガン・泥団塊) | 海底堆積物 | 多様なレアアース(Nd、Y、Dyなど) | 日本の南鳥島沖、太平洋海域 |
作成:AI作成
たとえレアアースが採掘できたとしても加工に適したものは粘度系とカーボナイト系がメインになってきます。そのほかの系統のものは放射線や技術面で困難なものもあり加工も難しいものになっています。
レアアースの加工(精製・分離)における世界シェアも中国が約8~9割ほど占めています。
なぜ、中国が圧倒的なシェアをしめているのか
理由としては、早期からレアアースの採掘と加工を国家戦略として投資して育成してきたからです。今は輸出規制や環境規制もありゆるやかな低下ですがひと昔前まではゆるかったのでその面も大きいと考えられます。
アメリカはその面ではあまり力をいれていないですが、日本は2011年に尖閣諸島沖で巡回船が衝突されたあたりから中国依存の脱却にむけて動いていました。
日本の排他的経済水域(EZZ)にある南鳥島には、中国よりも多いレアアースがあります。採掘にむけて研究が長年されてきたとのことです。来年の1月から試運転として採掘をしていく方向だとか。
長期的にみればアメリカよりも日本の銘柄が恩恵を受ける可能性
現在、アメリカと中国の貿易摩擦の激化にて各指数が下落傾向にありますが、レアアース銘柄は上昇傾向にあります。ですが、まだ売り上げが伸びていないことや技術面のことを考慮すると日本の銘柄の方が長期的にみれば恩恵を受ける可能性が高いかもしれません。
レアアースの加工技術をもっている企業↓
信越化学、双日、TDK
次回はレアアースの加工技術と日本の企業についてご紹介します。

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